ワイン
- 「製品」よりも「農産物」に近いワイン、少し知識があると100倍楽しめます
- 高級ワインの値段はどんどん高くなっているけど、世界中でワインが作られていて低価格帯も充実しています。日本ワインもおすすめ!
- ワインはシェアする飲み物。仲間を作ってみんなで楽しみましょう!
ワインを学ぶということ
ワインの面白いところが、嗜好品なのに「学ぶ」対象だと認識されていることです。 もちろん日本酒でもビールでも学ぶ人はいますが、ワインの方が「勉強してわかるようになるもの」という印象は強いですよね。
ただ楽しく飲むだけでも全然いいのですが、ある程度の知識があった方がずっと楽しめます。 それも他の趣味となんら変わらないのですが、特にワインに知識が必要とされる理由としては、その種類の多さでしょう。
ワインはお酒なのですが、「製品」というよりは「農産物」に近い存在です。 ビールのように先にレシピを決めて作っていくお酒とは対照的に、ワインはその年に穫れた葡萄の個性をそのまま表現しようとするお酒です。
同じ生産者が同じ場所で穫れたブドウを使って作ったワインでも、年によってかなりばらつきがあります。 アサヒスーパードライの味が去年と今年で違ったら消費者は困惑したり怒ったりするでしょうが、ワインは変わって当たり前なのです。
ボジョレー・ヌーヴォーを例に出すまでもなく、ワインの出来不出来が年によって違うのはよく知られていますが、生産年のほかにもブドウの品種、気候、土壌、生産者(による醸造法の違い)、収穫のタイミング、熟成方法の違いなどなど、ワインに個性を与える要素は無数にあります。
これらの要素の掛け算で全く違った個性のワインが生まれるわけですから、アイテムごとに特徴を丸暗記することなど不可能で、体系的な知識が必要となるわけです。
さらに、ワインそのものの性質だけでなく、飲むときの温度や使うグラス、合わせる料理によってもワインから受ける印象は変わってきます。
例えば温度はとても重要です。 なんとなく、赤ワインは室温、白ワインは冷やして、と思っていませんか? 正しい飲み方を知らないと、せっかくいいワインを開けてもその真価を知ることができず、すごく損をしているかもしれません!
逆に色々わかっていると、コンビニの千円ワインだって十分美味しく楽しめるようになりますよ。
ワインに限らずこういう世界ってハマるとかなり深い沼ではあるのですが、基本的なこと(ワインスクールの初級クラスなど)だけでも学んでおくと、結構実用的というか、日々の暮らしが豊かになると思います。
ワインを学ぶ人々
どんな人がワインを学んでいるのでしょうか?
私の観測範囲ということで、主にワインスクールで出会った人たちということになりますが、お金がかかる趣味ということもあって、経済的に裕福な方が多い印象はあります。
職業的には経営者、会計士、弁護士、医師など社会的にもステータス高めな人が多いかもしれません。
が、そういう人って目立ちますし、ほかの場所で知り合うことが少ないから印象に残っているというだけかもしれません。
人数的には普通の会社員みたいな人の方が多数を占めると思います。
あとは、飲食店勤務など、ソムリエを目指していたり、仕事に必要なスキルとしてワインを学んでいる方も多いですね。
30代、40代が中心ですが、年齢層は結構バラけてます。飲食店関係の人は20代など若い人が多い印象です。
これは総合講座的なクラスの場合で、マニアックなクラスになると年齢層は多少上がります。
男女比はほぼ均等だと思うのですが、ワインスクールの場合、異性の固定ファン層を持つ講師が少なからずいて、男女比が極端なクラスもあります。これは男性講師、女性講師両方あります。
ワインの価格について
ワインってお高いんじゃないの? と思われるかもしれませんが、これはその通りで、正直言って、お高いです。
しかも年々高騰していて、特にここ数年の値上がり幅はちょっと極端です...。
が、これは主にフランスなどの高級ワインの話で、低価格帯でもいいワインはたくさんあります。
伝統的にはワインはフランスやイタリアを中心とするヨーロッパのものでしたが、今は日本も含めて世界中、ブドウが育つところならどこでもワインが作られている時代です。
日本ワインのレベルも上がっています。一昔前は高い割に美味しくない残念なワインが多かった印象ですが、それはもう過去のもの。
確実にクオリティは上がっていますし、価格も輸入品が軒並み値上がりしている現状では日本ワインは相対的に安く感じます。ワイナリーの訪問なども国内だと気軽にできるのもいいですね。
「ワインを勉強してる人が飲むワインってどれくらいの価格帯なの?」という質問に対しては、ワインスクールで出されているワインの価格が参考になるのではないかと思います。
これもクラスによりますが、総合講座的なものだとボトルあたり5,000円から1万円程度、たまにそれ以上の高級ワインといった感じでしょうか。
ソムリエ/ワインエキスパート資格取得講座ではテイスティング試験で出題されるレベルに合わせて3,000円程度のものが出されます(正直あんまり美味しくはないです)。
というわけで、ワインを学ぶとどうしても舌が肥えてくるので、ちょっといいワインでないと満足できなくなってしまう恐れがあります。これはワインを学ぶ唯一のデメリットかもしれません...。
ただし、ワインを学んでいる人が毎日高級ワインを飲んでいるのかというとそういうわけでもないと思います。
むしろいいワインを知っているからこそ、その知識を活かして千円台くらいの気軽なワインの中から美味しいものを探し出す、みたいな楽しみ方ができると素敵ですね。
ワインスクールってどんなところ?
共通のカリキュラムはありますが、講師によって教えかたや授業のスタイルは様々です。
さらにそれぞれの先生にファンのようなものがついていることも多く、コミュニティが形成されていたりします。
なので、どのスクールがおすすめ、というのは難しく、どちらかというと先生との相性で選んだ方がよさそうです。
相性の良い先生(とその周りに集まるクラスメイト)を見つけられるといいですね。
スクールによっては振替ができるところもあるので、振替制度を使っていろいろな先生の授業を受けてみるのもありだと思います。
おすすめワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン
最大手で一番有名だと思います。
東京の青山と銀座、それから大阪と名古屋に展開しています。青山校が一番メインで、大小たくさんの教室があり、内装もとても綺麗です。
初めての人は総合コースのStep Iから始めて、その後Step IIもしくは資格が取りたくなったら受験コースへと進んでいくといいでしょう。
大手だけあって講師数も多いので、総合コースを担当している先生も複数います。クラス数が多いので、振替制度がかなり融通効くのも特徴です。
総合コースの講座は春夏と秋冬の2期になっていて、それぞれ4月と10月くらいから始まります。
研究科と称して、かなり多種多様な講座が揃っていますので、総合コースを終えてからも長く通えますよ。
レコール・デュ・ヴァン
こちらの総合講座に該当するものは、Basic講座、Middle講座という名前になっています。
私は総合講座はアカデミーのほうに行ってしまったので詳しくは知らないのですが、同じ先生のMiddleクラスに何回も通っているという知人がいて、カリキュラムもなかなかいいみたいです。
先生ごとに個性がだいぶ異なっているというのもアカデミーと同じですね。
レコール・デュ・ヴァンでおすすめしたいのはWine loverという講座です。
1年に4回、季節ごとに「ボルドー」「ブルゴーニュ」「シャンパーニュ」「世界のワイン」をテーマにした講座が開かれます。それぞれの講座は独立していて3ヶ月単位なので気軽に参加できます。
各講座(全5回)の最終回ではレストランでのマリアージュを楽しむ会になりますので、食事とワインを通して自然とワイン仲間もできますよ。
総合講座で基礎知識を身につけてから参加した方がよさそうですが、参加している人の知識レベルは様々で、共通しているのは「ワインが好き」というだけのカジュアルで楽しい講座です。
ワインはシェアするお酒
ワインは開けるとその瞬間から酸化が始まります。中には開けてから数日後に本領を発揮するワインというのも稀にありますが、基本的には劣化していくものなので、開けたらその日のうちに飲み切ってしまうのがいいです。
そうするとたくさんの種類を試すには人数が多い方がいいですよね。
1本のボトルを6〜7人で分けるとちょうどグラス1杯ずつくらいになります。レストランでも大体7杯取りくらいが標準です。
もちろんいつも大勢でなくても、大切な人と二人でとっておきのボトルを開けるのも素敵ですよね。
いずれにせよ、ワインは基本的には一人で飲むよりも、誰かとシェアするのがおすすめです。
でも実は、今はワインの酸化を防ぐいろんな手段があって、高級ワインを一人で楽しむこともできちゃいます。まあ一人で飲みたい時も当然ありますからね...。
一番おすすめなのはコラヴァン(CORAVIN)というアルゴンガスを注入して酸化を防ぐ製品です。コストはかかりますが、一人でちょっといいワインを飲みたいときには大活躍します。
テクノロジーのおかげで一人飲みも楽しめるようになりましたが、やっぱりみんなでワイワイ飲んで感想を言い合ったりするのは楽しいものです。
「ワイン会」という文化も、普通の飲み会とは違った趣があっていいものですよ。
ワインにちょっと詳しくなったら、お気に入りのワインと仲間を集めて、ぜひワイン会を開催してみてください。