長所を伸ばす? 短所を補う?

2019/10/27

能力を開発するときに、長所を伸ばすべきか、短所を補うべきかという問題がある。

長所を伸ばすのことのメリットはわかりやすい。

もともと得意なことなので楽しく、努力するのが苦にならない。やっている本人は努力とすら感じていないかもしれない。

長所を伸ばすことだけに注力すると、尖った人間になりやすい。これには良い面も悪い面もあるが、日本では悪い部分が強調されがちだ。

逆に短所を補うという発想のほうが日本人の気質に合っている感じがする。この国では伝統的に欠点がないことが美徳とされる。

でも、長所を伸ばさずに短所だけを矯正しても、単に特徴のない人間になってしまうだけだ。

図で表してみると次のような感じになる。

最初の状態

最初の状態

長所だけを伸ばした場合

長所だけを伸ばした場合

短所だけを直した場合

短所だけを直した場合

短所を補うことにもメリットはある。

苦手だと思い込んでいることが実は隠れた才能だったということもあるかもしれない。

少なくとも思ったよりも苦手じゃなかったということがわかったら嬉しいものだ。

「好き・嫌い」と「得意・苦手」はリンクしていることが多いが、必ずしもそうではない場合もある。

好き(できるようになりたい)なのに「苦手だから」と思ってあきらめてしまっていることはないだろうか?

自分の理想像

長所を伸ばすべきか、短所を補うべきかという問題は、結局のところ、自分が描く、自分の理想の姿によるのではないだろうか。

例えば凄腕プログラマー。プログラミングの腕はすごいが、人付き合いは苦手という人を考えてみよう。1

彼にとって、自分の理想の姿が「孤高の天才プログラマー」であれば、自分の専門をひたすら磨くことに専念すればいいだろう。 でも、もし彼が本当は人間関係をうまく築けないことに悩んでいるとしたら?

今は苦手だとしても、対人スキルを学ぶ努力をしたほうが、彼の人生は豊かになるだろう。

理想的な自分にとって必要なスキルならば苦手なことでも頑張ってみる価値はある。

だいたい、苦手だと思っているのは最初だけで、大抵のことは少しできるようになり始めると逆に楽しくなるものだ。

先のプログラマー君も、初対面の人とでも意外に話が弾むということがわかってくると、人と交わるのを楽しめるようになるだろう。

逆に、自分の理想像にあまり関係ないところは短所であってもそんなに気にすることはない。

例えば運動が苦手だけどそれでいいと思っていれば、そこにはあまり時間をかけず、もっと大切だと思うところに時間を使ったほうがいいと思う。2

長所を伸ばすことに障害は少ない。本当に好きで得意なことだったら放っておいても伸びていくだろう。特に、それが自分の理想像と合っていれば、どんどん伸ばせばいい。

自分の理想に合わせて配分

この図のように、自分にとって重要なこととそれほど重要ではないことを明らかにして、どこにエネルギーを注げばいいか考えてみるといいと思う。

まとめ
  • 短所を補うだけでは特徴のない人間になってしまう
  • でも、それが自分の理想のために必要なら克服するべき
  • 自分の理想像に関係ない短所は放置して、他のことにエネルギーと時間を使う
  • 長所は長所としてどんどん伸ばそう

  1. プログラマーの大半はこういうタイプだと思っている人が多いだろう。でもそれはステレオタイプというものだ。実際には社交的な人も多い。ただ、話題が「ふつうの人」とは重ならないので、「ふつうの人」たちのコミュニティと交わることが少ないだけ、というのが僕の観察だ。
  2. ただし、健康を損なうような運動不足にはならないように。さらに言えば、基礎体力は他のいろいろな活動のためのエネルギーの源泉だ。球技が上手になる必要はないが、基礎体力は鍛えておいたほうがいい、と、運動が苦手な僕も思っている。