[Carmen (カルメン)]
Près des remparts de Séville,
プレ・デ・ラン・パール・ドゥ・セ・ヴィ・ユ
セビリアの城壁の近くの
Chez mon ami Lillas Pastia
シェ・モン・ナ・ミ・リ・ラス・パス・ティア
馴染みのリリャス・パスティアの店に
J'irai danser la Séguedille
ジ・レ・ダン・セ・ラ・セ・グ・ディユ
セギディーリャを踊りに行くの
irai
(< aller; 単純未来)(aller + 不定詞)〜しに行く(近接未来「〜だろう」の意味になることもあるがここでは単純に「〜しに行く」の意味)
Séguedille
セギディーリャ(スペインの舞踊)(= seguidilla スペイン語)
Et boire du Manzanilla
エ・ブワ・ル・デュ・マン・ザ・ニ・ヤ
マンサニーリャを飲みに行くの
Manzanilla
マンサニーリャ(スペインのワイン、シェリーの一種)
J'irai chez mon ami Lillas Pastia
ジ・レ・シェ・モン・ナ・ミ・リ・ラス・パス・ティア
馴染みのリリャス・パスティアの店に行くの
Oui, mais toute seule on s'ennuie
ウィ・メ・トゥ・トゥ・スル・オン・サン・ニュイ(・ウ)
でもたった一人じゃ退屈ね
toute seule
(< tout seul)独りで
s'ennuie
(< s'ennuyer)退屈する
[発音の注]
語末のeは普通発音しませんが、オペラではこのeを/ə/の音で発音させ、音符を一つ当てることがよくあります。このような場合、括弧書きで(・ウ)と表示することにします。
Et les vrais plaisirs sont à deux;
エ・レ・ヴレ・プレ・ズィル・ソン・タ・ドゥー
本当の楽しみは二人でなくちゃ
Donc, pour me tenir compagnie,
ドンク・プル・ム・トゥ・ニル・コン・パ・ニ(・ウ)
だから、私の付き添いに
tenir compagnie à ...
...の相手をする、一緒にいてあげる(ここでは「me (私に)」が「à ...」の部分に相当)
J'emmènerai mon amoureux !
ジャン・メ・ヌ・レ・モン・ナ・ム・ルー
恋人を連れて行くの!
emmènerai
(< emmener; 単純未来)連れて行く
Mon amoureux... il est au diable...
モン・ナ・ム・ルー・イ・レ・ト・ディア・ブル
私の恋人… どこか遠くにいるわ
Je l'ai mis à la porte hier !
ジュ・レ・ミ・ザ・ラ・ポル・トゥ・イェール
昨日追い出したばかりだから!
Mon pauvre cœur très consolable,
モン・ポー・ヴル・クール・トゥレ・コン・ソ・ラ・ブル
私の哀れな心もすぐに癒えるわ
consolable
慰めることのできる(この部分の直訳は「とても立ち直りの早い、かわいそうな私の心は、空気のように自由である」)
Mon cœur est libre comme l'air !
モン・クール・エ・リー・ブル・コ・ム・レール
私の心は空気のように自由なの!
J'ai des galants à la douzaine,
ジェ・デ・ガ・ラン・ザ・ラ・ドゥ・ゼー・ヌ
言いよる男はダースで数えるほど
à la douzaine
ダース単位で、いくらでも、たくさん
Mais ils ne sont pas à mon gré
メ・ズィル・ヌ・ソン・パ・ザ・モン・グレ
でも誰も好みに合わないわ
Voici la fin de la semaine:
ヴワ・スィ・ラ・ファン・ドゥ・ラ・ス・メー・ヌ
もうすぐ週末だから
Qui veut m'aimer ? je l'aimerai !
キ・ヴー・メ・メ・ジュ・レ・ム・レ
私を愛してくれるのは誰? 私もその人を愛するわ!
veut
(< vouloir)(後に動詞の原形を伴って)〜したい
Qui veut mon âme ? Elle est à prendre !
キ・ヴー・モン・ナー・メ・レ・タ・プラン・ドゥル
私の心が欲しい人は誰? 欲しけりゃどうぞ!
veut
(< vouloir)(後に名詞を伴って)〜が欲しい
prendre
取る(ここでは à prendre で「取ろうと思えば取れる状態にある」ことを示している。主語のelleは女性名詞である âme 「魂」を指す。)
Vous arrivez au bon moment !
ヴー・ザ・リ・ヴェ・オ・ボン・モ・マン
ちょうどいいときに来てくれたわ
Je n'ai guère le temps d'attendre,
ジュ・ネ・ゲー・ル・ル・タン・ダ・タン・ドゥル
もう待っている時間がないの
Car avec mon nouvel amant
カル・ア・ヴェク・モン・ヌー・ヴェル・ア・マン
だって新しい恋人と
amant
愛人(現代のフランス語では不倫関係にある愛人のことを指す)
Près des remparts de Séville,
プレ・デ・ラン・パール・ドゥ・セ・ヴィ・ユ
セビリアの城壁の近くの
Chez mon ami Lillas Pastia,
シェ・モン・ナ・ミ・リ・ラス・パス・ティア
馴染みのリリャス・パスティアの店に
J'irai danser la Séguedille
ジ・レ・ダン・セ・ラ・セ・グ・ディユ
セギディーリャを踊りに行くの
Et boire du Manzanilla
エ・ブワ・ル・デュ・マン・ザ・ニ・ヤ
マンサニーリャを飲みに行くの
Oui, j'irai chez mon ami Lillas Pastia !
ウィ・ジ・レ・シェ・モン・ナ・ミ・リ・ラス・パス・ティア
ええ、馴染みのリリャス・パスティアの店に行くのよ!
[Don José (ドン・ホセ)]
Tais-toi ! Je t'avais dit de ne pas me parler !
テ・トゥワ・ジュ・タ・ヴェ・ディ・ドゥ・ヌ・パ・ム・パル・レ
しゃべるな! おれに話しかけるなといっただろう!
tais-toi
(< se taire; 命令法)黙る
[Carmen (カルメン)]
Je ne te parle pas, je chante pour moi-même, je chante pour moi-même !
ジュ・ヌ・トゥ・パル・ル・パ・ジュ・シャン・トゥ・プル・ムワ・メー・ム・ジュ・シャン・トゥ・プル・ムワ・メー・ム
話しかけてなんかいないわ、自分に歌ってるだけよ!
Et je pense ! il n'est pas défendu de penser !
エ・ジュ・パン・ス・イル・ネ・パ・デ・ファン・デュ・ドゥ・パン・セ
そして考えてるの! 考えるのはかまわないでしょう!
il n'est pas défendu de ...
...することは禁じられていない
Je pense à certain officier, Je pense à certain officier, Qui m'aime
ジュ・パンス・ア・セル・タン・ノ・フィ・スィエ・ジュ・パンス・ア・セル・タン・ノ・フィ・スィエ・キ・メー・ム
ある将校さんのことを考えてるの、私を愛してくれる将校さんのこと
qui
このquiは関係代名詞で officier qui ... 「〜する将校」とつながる
Et qu'à mon tour, oui, qu'à mon tour, je pourrais bien aimer !
エ・カ・モン・トゥール・ウィ・カ・モン・トゥール・ジュ・プ・レ・ビヤン・ネ・メ
そして、私のほうも、好きになっちゃうかもしれないな!
qu'
(< que)これも関係代名詞で、前行のquiと同じくofficierに係る。ただし、こちらは目的格で、aimerの目的語になっている。この部分を直訳すると「私を愛してくれて、私のほうでも好きになるかもしれない、ある将校さんのことを考えている」
à mon tour
今度は私が(tourは「順番」)
pourrais
(< pouvoir; 条件法)〜するかもしれない
[Don José (ドン・ホセ)]
[Carmen (カルメン)]
Mon officier n'est pas un capitaine;
モン・ノ・フィ・スィエ・ネ・パ・ザン・カ・ピ・テー・ヌ
私の将校さんは大尉じゃなくて、
Pas même un lieutenant, il n'est que brigadier;
パ・メー・マン・リュー・トゥ・ナン・イル・ネ・ク・ブリ・ガ・ディエ
中尉でさえない、ただの伍長よ
Mais c'est assez pour une Bohémienne
メ・セ・タ・セ・プル・ユ・ヌ・ボ・エ・ミエン・ヌ
でもジプシー女にはそれで十分
Bohémienne
ジプシー(女性形、男性はBohémien)
Et je daigne m'en contenter !
エ・ジュ・デー・ニュ・マン・コン・タン・テ
満足してさしあげましょう!
daigne
(< daigner)〜してくださる、〜してやる
m'en contenter
それだけで我慢する(ここで en は中性代名詞。se contenter de 〜「〜だけで我慢する」のde 〜の部分が代名詞 en になっている)
[Don José (ドン・ホセ)]
Carmen, je suis comme un homme ivre,
カル・メン・ジュ・スュイ・コム・アン・ノ・ミー・ヴル
カルメン、なんだか酔っているみたいだ
Si je cède, si je me livre,
スィ・ジュ・セー・ドゥ・スィ・ジュ・ム・リー・ヴル
もしおれが屈して、いいなりになれば
me livre
(< se livrer)心を許す、投降する、身を委ねる
Ta promesse, tu la tiendras,
タ・プロ・メ・ス・テュ・ラ・ティアン・ドゥラ
その約束、守ってくれるだろうな
tiendras
(< tenir; 単純未来)つかんでいる、(約束を)守る
Ah ! si je t'aime, Carmen, Carmen, tu m'aimeras !
アー・スィ・ジュ・テー・ム・カル・メン・カル・メン・テュ・メー・ム・ラ
ああ! もしおれが愛したら、カルメン、おれを愛してくれるだろうな!
aimeras
(< aimer; 単純未来)愛する
[Carmen (カルメン)]
[Don José (ドン・ホセ)]
Chez Lillas Pastia,
シェ・リ・ラス・パス・ティア
リリャス・パスティアの店で
[Carmen (カルメン)]
Nous danserons la Séguedille
ヌー・ダン・ス・ロン・ラ・セ・グ・ディ・ユ
セギディーリャを踊りましょう
danserons
(< danser; 単純未来)踊る
En buvant du Manzanilla, ah !
アン・ビュ・ヴァン・デュ・マン・ザ・ニ・ヤ・アー
マンサニーリャを飲みながら、ああ!
en buvant
(< boire)飲みながら(boireのジェロンディフ en + 現在分詞「〜しながら」)
[Don José (ドン・ホセ)]
Tu le promets ! Carmen... Tu le promets !
テュ・ル・プロ・メ・カル・メン・テュ・ル・プロ・メ
約束だぞ! カルメン… 約束だぞ!
[Carmen (カルメン)]
Près des remparts de Séville,
プレ・デ・ラン・パール・ドゥ・セ・ヴィ・ユ
セビリアの城壁の近くの
Chez mon ami Lillas Pastia,
シェ・モン・ナ・ミ・リ・ラス・パス・ティア
馴染みのリリャス・パスティアの店で、
Nous danserons la Séguedille
ヌー・ダン・ス・ロン・ラ・セ・グ・ディ・ユ
セギディーリャを踊りましょう
nous
私たちは(ホセとのやりとりの前は主語が1人称単数(je)だったが、ここでは1人称複数になっている)
danserons
(< danser; 単純未来)踊る
Et boirons du Manzanilla
エ・ブワ・ロン・デュ・マン・ザ・ニ・ヤ
マンサニーリャを飲みましょう
Tra la la la la... tra la la la la....
トゥラ・ラ・ラ・ラ・ラ… トゥラ・ラ・ラ・ラ・ラ…
トラ・ラ・ラ・ラ・ラ… トラ・ラ・ラ・ラ・ラ…